パンデミックと都市計画
過去のパンデミックが都市計画に与えた影響
スペイン風邪は約5,000万人の死者が出たと言われていますが、これを上回る被害者を出したパンデミックはそれ以前にもありました。
その詳細までは綿密に記録されていないにせよ、過去に人類はさまざまなパンデミックに襲われた歴史があるのです。
6世紀から18世紀にかけて繰り返しヨーロッパをおそったペスト(黒死病)は長い間、繰り返し人類を苦しめてきました。
有名なカミュの小説『ペスト』もこの時代について書かれたものですが、ほかにも様々な歴史書や芸術作品により、私たちはその恐怖の片りんを知ることができます。
今と違い、医療も発達していなかった時代には、感染症がどうやって広がっていくのか、その理由や治療法も確立していませんでした。
いったん感染症が広がると、人々はなすすべを知らず、次々に倒れていく家族や仲間の死を悼む余裕もなく、ただ神に祈るしかなかったのです。
このようなパンデミックの影響は私たちの生活の様々な面に現れ、都市計画もその例外ではありません。
現在と比べると衛生基準も低く、劣悪な衛生環境に居住していた庶民の多くは健康状態も良好とはいえませんでした。
さらに、人口密度の高い都市部に住み、働いていた人々の居住環境や労働条件は現在とは比べ物にならないくらいひどいもので、それが感染病の蔓延をさらに加速しました。
パンデミックがようやく収束すると、過去の教訓から学ぼうと、居住環境や街の在り方など、都市計画の分野でも改革が行われたのです。
かの天才芸術家、レオナルド・ダ・ヴィンチも15世紀にイタリアを襲ったペストをまぬがれた経験から、感染症を予防するための都市計画の在り方を模索していました。
この講座では過去のパンデミックが世界中で人類が住む環境やその都市計画にどのように影響を与えてきたのかを見ていきます。
その歴史から、私たちは「アフター・コロナ」時代の生活スタイルや街づくりについて多くを学ぶことができます。
都市計画や歴史に興味がある人はもちろん、一般人にも興味深い内容になっています。
この講座では下記の時代に分けてその歴史を見ていきます。
1.ローマ時代
2.14世紀
3.18世紀から19世紀
4.20世紀から戦後
【復習クイズ】
それぞれのレッスンの後に復習のためのかんたんクイズを加えました。
レッスンの内容を理解したかどうかをチェックしてみましょう。
【パワーポイント資料付き】
講座内容のポイントをまとめたパワーポイントのスライドファイルを添付しています。
このスライドを使ってご自分の学習用に役立てることもできるし、グループ学習やプレゼンテーションのために使うこともできます。
ダウンロードして、ご自由にご利用ください。
それでは、最初のレッスン「ローマ時代」から見ていきましょう。