タウンセンターと郊外型大規模ショッピングセンター
米国でモータリゼーションと共に広まった郊外型の大規模ショッピングモールは日本やヨーロッパなどにも進出していきました。
大きな駐車場がついた全天候型のモールは、ショッピングだけでなく飲食店や娯楽・サービス施設まで完備した大規模なものも含み、日本各地で目にします。
娯楽の少ない地方では、自家用車所有率が高いこともあり、快適な環境で家族連れでも楽しめるショッピングモールは利用者にとって便利な施設です。地方の小さい伝統的な商店街にはなかった全国チェーンのブランド店舗や飲食店は若者にも大きな魅力となっています。
一方で、そういうショッピングセンターができると、もとからあった地元の商店街への客足が遠のくのが常です。経営難に陥る地元店舗が次々に営業をやめて、かつてにぎわっていた中心市街地がシャッター通りと化してしまう現象もあちこちで見られます。
徒歩や公共交通機関が「足」だった時代には便利だった駅前などの商店街は、車社会になると駐車場不足や駐車料金の高さ、渋滞などの面からも、ロードサイド店も含む郊外型店舗に比べると、どうしても不利になります。
とはいえ、自家用車を持たない家庭や高齢者、学生、若者にとっては車でないと行けない施設が不便なのは明らかです。
中心市街地には店舗だけでなく、銀行や郵便局、図書館、町医者や役場など日常必要な行政・民間のサービスなどがそろっているという街も多いのですが、徒歩や電車・バスでそういうサービスを当たり前のように享受できていた住民にとっては、そこがシャッター街と化してしまうことは不便なだけでなく、コミュニティの喪失という現象ともなります。
郊外型大規模スーパーマーケットやショッピングセンターが既存の中心市街地(タウンセンター)に影響を与えてしまう現象は、イギリスでも数十年前から指摘されてきました。
ヨーロッパ諸国の歴史がある街の多くはタウンセンターに商業だけでなく、飲食店、サービス、教育、行政、宗教など様々なコミュニティの営みが行われる「ハブ」として機能してきました。
そのタウンセンターから店舗がなくなり、人がいなくなることについて問題視する声は大きく、イギリスでは都市計画制度を通じてこの課題に取り組んできた経緯があります。
この講座では、郊外型ショッピングセンター開発がタウンセンターに与える影響とその背景について学び、その解決策についても考えていきます。
イギリスの複数の地方自治体で都市計画家として働いた経験を通じて、イギリスの都市計画制度が具体的にどのようにこの課題に適用されてきたのか、実際の成功例や失敗例も紹介します。
この講座を学ぶことで、郊外型ショッピングモール開発による中心市街地衰退という問題に、イギリスがその都市計画制度を通じてどのように取り組んできたかがわかり、その考え方や仕組みを日本やほかの地域に適用することができます。
都市計画について勉強中の人や、実際に街づくりに携わっている人はもちろんですが、特に基礎知識がない一般人でも理解できるように、平易な言葉でわかりやすく説明しています。
この講座は下記の6つのレッスンに分かれています。
1.タウンセンターと郊外型大規模ショッピングセンター
2.タウンセンターとショッピングセンター:イギリスでは
3.郊外型ショッピングセンターによる地方商店街への影響:イギリスDudleyの事例
【文書・ビデオ・音声】
それぞれのレッスンはテキスト文書で読むこともできますが、それをまとめたビデオも用意しています。
ビデオはスライドと音声でレッスン内容を説明していますので、ビデオとしても音声だけでもご利用になれます。
お好きな方法で読んだり見たり聞いたりしてください。
【復習クイズ】
また、それぞれのレッスンの後に復習のためのかんたんクイズを加えました。
レッスンの内容を理解したかどうかをチェックしてみましょう。
【パワーポイント資料付き】
各レッスンには講座内容のポイントをまとめたパワーポイントのスライドファイルが添付されています。
このスライドを使ってご自分の学習用に役立てることもできるし、グループ学習やプレゼンテーションのために使うこともできます。
ダウンロードして、ご自由にご利用ください。